コラム 市立第五中学校遺跡

  今回のワークショップで、展示会のために参加者の皆さんから選ばれた土器の大多数は、市立第五中学校遺跡出土の土器です。
 

 市立第五中学校遺跡は、中学校校地を中心に環境センターやその周辺に広がる、旧石器時代から古墳時代までの集落遺跡です。中学校舎などの建設に伴い、現在までに14回の本発掘調査が行われています。
 この結果、特に縄文時代中期には、およそ800年間継続した、都内でも有数の大規模拠点集落(ムラ)があったことが判明しました。
 この遺跡は蛇行する仙川に沿って舌状に張り出す、台地地形を利用してつくられています。関東〜東北地方の縄文中期の集落は、環状または馬蹄形に竪穴住居跡を配し、中央に広場のような空間を持っている例が知られています。 

 近年では、新体育館建設に伴い、平成22年6月から10月まで、このムラの中心部と目される区域の発掘調査が行われ、19軒の竪穴住居跡のほか、10万点に及ぶ大量の土器や石器が出土しました。調査した住居跡総計は140軒を越えています。

 開校から50年を超えた市立第五中学校の地は、約5,350年前に開村した縄文ムラがあった、長い歴史を持つ場所でもあるのです。

 

▲平成22年度調査 全景

 

▲平成22年度調査 調査風景(手前はSI-136・140住居跡)

 

▲SI-130住居跡 埋甕炉(まいようろ)