常設展示室
出土状況
 この土偶は、平成14年4月〜6月に行われた、住宅建設に伴う小規模な発掘調査によって発見されました。発見された場所は、祭祀の場と考えられる縄文後期の焼土遺構の上位で、上半身のみの発見です。割れ口が余り風化していないため、割れてから間もなく土に埋まったものと考えられ、欠損した部分がまだ周辺に埋まっている可能性もあります。

特徴

 吊りあがった眉、鉤状に隆起した鼻、目と口を大きく開き、肩を張る。この土偶の特徴は、顔をデフォルメした造形の妙とその表情の豊かさにあります。連続した隆帯(りゅうたい)で眉や鼻が簡素に作られただけでありながら、怒っている様にも見え、愛嬌も感じさせる造形は、見事と言えます。
 製作手法でみると、眉と鼻が一体化した顔の表現は、後期土偶にみられる特徴のひとつです。顔の裏側にあるループ状の突起は、髪を結った姿を表現しているものと考えられます。眉に連続して顔からはみ出す瘤のような隆起は、この時期の土偶としては類例がありませんが、耳飾りを表現している可能性があります。
 調査区内からは多数の土器が出土していますが、土偶の時期を特定する土器等が直接伴っていないため、正確な時期は不明です。しかし顔の造作の特徴等から縄文時代後期中葉(約3,000年前)頃のものと考えられます。この時期の土偶は都内でも類例が少なく貴重な資料です。
丸山A遺跡出土土偶 〜縄文時代後期
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